保育所と児童発達支援事業所の一体的な運営
令和5年4月1日より、基準が改正され、保育所と児童発達支援事業所の一体的な運営が可能となりました。これまでの国の保育政策は待機児童問題への対応が主軸でしたが、今後の人口減少社会において、良質な保育を提供し続けることが大きな課題となっています。こうした状況の中、その具体的な取り組み内容として保育所と児童発達支援との一体的な支援(インクルーシブ保育)を可能とするための規制の見直しがされました。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令が公布され、令和5年4月1日より施行されます。従来規定に例外規定を設け、必要な保育士や面積を確保することを前提に、利用児童の保育に支障が生じない場合に限り、保育所等について他の社会福祉施設との併設を行う際に、特有の設備・専従の人員についても共用・兼務できるようになりました。
一体的な運営の目標
保育所事業者が児童発達支援事業を行うことは、地域の課題の解決につながるだけでなく、事業者自体の成長や地域社会との連携を強化し、子供たちにもより良い学びの環境を提供することができることを示しています。顧客の中には、保育所と隣接している土地に児童発達支援事業を行っている事業者がいますが、こうした事業形態がより広がれば、地域社会の課題解決だけでなく、事業者にとっても多くのメリットがあります。
事業内容
児童発達支援事業所では、児童発達支援に加えて保育所等訪問支援を行うことも可能です。
児童発達支援事業とは、障害児通所支援に分類され、受給者証を取得した子どもたち(0歳~6歳の未就学児)を対象とし、日常生活の基本動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等を継続的に支援を行います。
保育所等訪問支援とは、児童発達支援と同じ障害児通所支援に分類されます。専門スタッフが保育所等を訪問し、児童に対して集団生活適応のための訓練や訪問先施設のスタッフに対して、支援方法等の指導等を提供します。 保育所などを現在利用している障害児が集団生活の適応のための専門的な支援を必要とする場合、2週間に1回程度施設を訪問し、保育所などの安定した利用を促進します。
利用までの流れ
- 医師意見書もしくは診断書、療育手帳等、受給者証の申請に必要となる書類を取得する。
- 自治体の窓口に必要書類を揃えて受給者証の申請をし、 自治体職員による聞き取りを受ける。
- 受給者証の交付
- 取得後、利用希望の事業所へ受給者証を提示し利用契約を交わす。
新規設立支援の流れ
- 関係市町村等との事前調整
障害児支援ニーズの確認や地域の法規制に関する確認を行う。
- 人員・設備の確保
指定を受けるために、基準を満たした「人員の確保」と「設備の確保」を行う。
- 指定申請
基準を満たした後、指定を受ける月の3ヶ月前の月末日までに指定申請を行う。
- 指定後の手続き
国保連請求業務、福祉・介護職員等の処遇改善加算申請業務を行う。
人員基準について
以下の人員基準を満たす必要があります。
- 管理者:資格要件なし、兼務可能
- 児童発達支援管理責任者:資格要件あり
- 児童指導員等:児童指導員or保育士
この改正により、保育所と児童発達支援事業の一体運営が進み、地域社会全体に大きな貢献が期待されます。